うめしん俳句会  秋の吟行会―伊丹柿衛文庫・伊丹空港

晩秋の27年11月23日、今年2回目の吟行会は俳人ゆかりの柿衛文庫と有岡城や伊丹空港がある伊丹市内で行い、会員11名が参加しました。

当日は、ゆく秋を惜しむかに時雨模様の中、阪急伊丹駅よりバスで、まずは伊丹スカイパークへ向かいました。そこは空港ターミナルの反対側にあり、ジェット機の発着陸が目の前に迫る近さで体感できました。

そこで、大屋さん・水川さん・横田さんは詠みました。

   冬空へ飛び立つ機体夢乗せて    大屋真理子

   冬晴れへ飛び立つジェット残る音  水川秀樹

   遠山は時雨れて低し機首上がる   横田 侃

スでJR伊丹駅に戻り、そこから伊丹の歴史に詳しい伊丹在住の池田安弥さんにご同行いただき、黒田官兵衛が幽閉されていたことで有名な有岡城跡に立寄り、悠久の史に思いを巡らせました。

の後、今回の吟行一番の目的である柿衛文庫へと向かいました。清酒醸造で栄えた江戸期の伊丹では俳諧文化が華開き、その中で蓄積された文化遺産に故・岡田兵衛氏(俳号・柿衛)の収集資料を加えて発足したのが現在の公益財団法人柿衛文庫です。訪れた期間は「芭蕉とその門人」の企画展であり、この会の参加者にとって願ってもない展示物を目にすることができました。芭蕉とその門人たちの相互の書簡、それにまつわる句や芭門三十六人の肖像にそれぞれの代表句が掲げてあるものなど、見ごたえのある展示物に時間を忘れ、その時代にタイムスリップしたかのように吸い込まれる思いでした。

伊丹郷町と呼ばれるこの辺りは清酒発祥の地であり、明治期に岡田氏によって名だたる銘酒が手掛けられました。その酒蔵は柿衛文庫に隣接し、伊丹の酒造りの歴史を中心に、使われていた道具や映像で、その当時の様子を窺い知ることができました。現在酒造りは行われていない為、筆者が期待していた新酒の仕込みを知らせる酒林(杉玉)を見ることができなかったことが唯一残念でした。

して、待ちに待った夕食懇親会「白雪ブルワリーレストラン・長寿蔵」へと向かいました。吟行も回を重ねるごとに親密さが増し、美味しいお酒と料理に笑みがこぼれて作句の苦心談や選句の難しさなど、和気藹々の中で話が弾みました。ほろ酔い気分で懇親会を終えた頃には雨もあがり、初冬の青白い月の光に誘われるように帰路に就いたのでした。

記:勝浦かよ子 

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