今月の一句(11月どうしん句会)

今月の兼題は「初時雨」でした。

時雨は晩秋から初冬にかけて晴れたり降ったりする雨を表現した言葉で、陰暦の十月は時雨月と言われている。この初冬の最初の雨が初時雨であるが、今年の晩秋は暖かい日が多く皆さん苦戦した様子です。

以下特選句・入選句と会員の句を掲載します。

今月の特選句

乱杭に置かれし小石鵙日和     葛巻正樹

初しぐれ高みの葉むら色付きて  徳弘多史

表札の薄れし家の柿垂るる     佐道正

入選句

小走りが家までつづき初時雨    中島篤三

初時雨予防接種の紙探す     蓮尾碩才

冬に入る診察前の深呼吸      桑島久乃

これよりは遺品の整理初時雨    野崎幾代

丸三角四角もありておでんかな   坂井正巳

会員の句

三猿の口とがらせり初時雨      花房俊明

手作りのカレーライスや明治節   土方元夫

機微を読む静寂な並木初しぐれ   小川亶

剥落の山門濡らす初時雨       桑島貞明

夕ぐれの大楠しめる椋の群(むら)  大崎太郎

満潮に舞ひあがりたり波の花     下山道郎

初時雨母の回忌の山の寺       鹿兒島俊之

鳥かごのごとき休日とろろ汁      浅野浩利

初時雨乗船時には抜ける空      中川昌明

(蓮尾碩才 記)

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